■73 前権中納言匡房
(さきのごんちゅうなごんまさふさ)
高砂の
尾の上の桜
咲きにけり
外山のかすみ
立たずもあらなむ
たかさごの をのへのさくら さきにけり とやまのかすみ たたずもあらなむ
憂かりける
人を初瀬の
山おろしよ
はげしかれとは
祈らぬものを
うかりける ひとをはつせの やまおろしよ はげしかれとは いのらぬものを
ちぎりおきし
させもが露を
命にて
あはれ今年の
秋もいぬめり
ちぎりおきし させもがつゆを いのちにて あはれことしの あきもいぬめり
■76 法性寺入道前関白太政大臣
(ほつしょうじにゅうどうさきのかんぱくだいじょうだいじん)
わたの原
こぎいでて見れば
ひさかたの
雲居にまがふ
沖つ白波
わたのはら こぎいでてみれば ひさかたの くもゐにまがふ おきつしらなみ
瀬をはやみ
岩にせかるる
滝川の
われても末に
あはむとぞ思ふ
せをはやみ いはにせかるる たきがはの われてもすゑに あはむとぞおもふ
淡路島
かよふ千鳥の
なく声に
幾夜ねざめぬ
須磨の関守
あはぢしま かよふちどりの なくこゑに いくよねざめぬ すまのせきもり
■79 左京大夫顕輔
(さきょうのだいぶあきすけ)
秋風に
たなびく雲の
絶え間より
もれいづる月の
かげのさやけさ
あきかぜに たなびくくもの たえまより もれいづるつきの かげのさやけさ
■80 侍賢門院堀河
(たいけんもんいんほりかわ)
長からむ
心もしらず
黒髪の
みだれてけさは
物をこそ思へ
ながからむ こころもしらず くろかみの みだれてけさは ものをこそおもへ
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